選手からマネージャーへ。
馬への愛情を胸に

馬術部

2024/02/26

アスリート&スポーツ

OVERVIEW

立教大学体育会の中で唯一、動物と共に活動する馬術部。過去には全日本学生選手権において優勝者を輩出するなど、あまたの好成績を残してきた。和泉優我(済3)も2022年秋、第72回全日本学生賞典障害馬術競技大会(インカレ)で16位を記録。馬術部の功績に名を残した。入部して2年間を選手として過ごした一方で、昨冬からはマネジャーに転向。異色の経歴を持つ彼の大学馬術半生に迫った。

若きライダーの歩み

インカレで障害物を飛び越える和泉優我と聖修

馬術に出合ったのは立教新座高等学校時代。高校から新たなスポーツを始めようと決意し、馬術部の門を叩いた。高校では選手としてさまざまな大会に出場したものの、大学では競技を続ける予定はなかったという。高校の馬術部は乗馬クラブで練習を行っていたが、大学の馬術部は馬を所有しているため、全て学生が管理する。富士見総合グラウンドにある厩舎きゅうしゃでは、早朝4時から部員が365日交代で世話をする。高校とは比にならない多忙さを前に競技続行に迷いが生じた。しかし試しに活動見学に訪れた際、先輩部員らのアットホームな雰囲気に背中を押される。勢いそのままに入部を決意した。

大学での競技生活は順風満帆だった。入部してから徐々に頭角を現し、1年次の冬季から学生戦に出場。2年次4月の東京六大学馬術競技大会では障害競技で4位入賞を果たした。同年11月には聖修(スカイウィザード)と共に自身初のインカレで障害飛越競技に挑む。大会わずか2週間前、コーチからペア結成を告げられ、この公式戦で初タッグを組んだ。障害馬術競技は、聖修にとっても初めての大舞台。「この馬で大丈夫かな」。未知なる挑戦を前に不安が募った。

※聖修(スカイウィザード): 現・聖修(ヤマノウィザード)

聖修を鼓舞して挑んだインカレ

短い調整期間の中で迎えたインカレ。競技開始のベルが鳴り、聖修と共に悠々と駆け出した。最大の難関は高さ130㎝もの障害物。馬が障害物の飛び越えを2度ちゅうちょすると失格となるため、和泉は場内をハイスピードで走行。勢いそのままに障害物をスムーズに飛び越えられるようにした。「聖修なら飛べる」。担当馬としてかわいがってきた愛馬。相棒の高いポテンシャルを信じ、手綱を握る。人馬一体となり障害減点は8点、タイム減点は0点で総合16位をマーク。期待を上回る結果に顔がほころんだ。

馬術部の大黒柱

OB・OG会からの表彰を手に喜ぶ様子

インカレ後は次期エース格として期待を背負った和泉。しかし2年次の冬、身体の不調が発覚した。「辞める考えはなかった。馬がかわいいから」。選手生命を絶たれるも馬への愛情は途切れず、引退後もマネジャーとして部に残ることを選択した。和泉の強みはプレーヤーの気持ちを理解できること。選手経験を生かし、馬に乗る側の要望を細やかにくむことができる。

マネジャーとしての今後の抱負は、部員らが居心地良い環境を作ること。特に意識していることは後輩との対話だ。フレンドリーに話しかけて和やかな雰囲気を生み出し、良好な関係を築く。選手の頃から変わらず心掛けていることだ。選手からマネジャー。立場は変わったが、これからも和泉は馬術部に貢献し続ける。

馬術部は11頭の馬と活動中。その中の1頭、聖頼と

「立教スポーツ」編集部から

立教大学体育会の「いま」を特集するこのコーナーでは、普段「立教スポーツ」紙面ではあまり取り上げる機会のない各部の裏側や、選手個人に対するインタビューなどを記者が紹介していきます。「立教スポーツ」編集部のWebサイトでは、各部の戦評や選手・チームへの取材記事など、さまざまな情報を掲載しています。ぜひご覧ください。

writing/「立教スポーツ」編集部
経済学部経済学科3年次 平岡薫奈

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